スラムダンク一億冊記念DVD
侮っていた。まさか泣かされるとは思ってなかった。
気楽な気持ちで見始めたのに、何度も泣かされるはめになってしまった。
井上雅彦、おそるべし。
きっかけは何だったかもはや忘れてしまったが、アマゾンでこのDVDがおすすめとしてヒットした。「スラムダンク、その10日後」
これについては本屋で既に特集が組んであるのが発売されているのを見ていたし、井上雅彦がああゆうイベントを行っていた事も知っていた。
でも原作は全巻持っているが、アニメのDVDを買う程でもないし、劇場版に至っては見た事も無いという程度のファンである私なので、今回DVDをわざわざ中古ではなく、購入したのは私にとってちょっと不思議な気がする。
「スラムダンク」とは今から8年程前にジャンプで連載されていたバスケット漫画である。当時、バスケット漫画は少年漫画では売れない作品となるということで敬遠というかタブーになっていたらしい。それが空前の大ヒットを飛ばし、連載が終了したにも関わらずその売り上げ部数は伸び続け、ついには一億冊売れたらしい。
で、作者である井上雅彦氏が読者への感謝を込めて、神奈川にある廃校を借り、イベントを行ったのである。
井上氏は数日に渡ってその校舎を使い切っていろいろな企画を行った。
凄いのは黒板に記された漫画。最終巻の日から10日後の話。
このスラムダンクという作品、人気があるにも関わらず、続編というものを一切描かれない希有な漫画だった。ジャンプと言えば売れれば続編、長期連載が当たり前(「ドラゴンボール」とか「キャプテン翼」とか)と思っていたのだが、これについては何も描かれなかった。それは井上氏がそう望んでいたから。
別にファンではなかったのにこのDVDを購入した理由のひとつに、井上雅彦という人そのものが面白い人だな、と思ったことがある。
それは私が甲野善紀という武道家に興味があって、彼の本を何となく集めてしまっているのだが、その中に井上雅彦氏との対談があった。現在彼は「バカボンド」という宮本武蔵の漫画を描いていて(実は読んだ事無いのだが)、その縁から甲野氏と対談を行ったらしい。で、その対談で井上さんという人そのものに興味がわいたという理由があるのだ。
廃校にチョークで描かれた漫画は、柵も係員も居ない放置状態で展示されたが、数日間の展示期間無事にコマの枠の一部すら消されずに綺麗に残った。
その黒板に自分の全てを込めて描いた姿をDVDで見ている私は、もう触れるどころか近くにすら寄れないだろうが、会場に来たファンの人達はその姿を見ていないはず。でも、彼の漫画の迫力に、近くに寄れないファン達の姿も一緒に収録されている。
私はこのDVDを見て、人間て凄い。と素直に感じて涙した。
今の世の中、不幸な事件、哀しい人の心があふれ返っている。もはや未来に希望が持てなくなるのではないかと思う程。
でも、このDVDはそんな私に「まだまだだ」と言ってくれた気がする。
人にはいろいろな自己表現の仕方があるが、しみじみ漫画って凄いものがあるな〜と。
展示期間最終日、井上氏はファンの人達が解放された体育館で思い思いにやったバスケットに参加し、一緒に汗を流した。
人とのつながりを感じたいと言っていた彼が、少し眩しかった。

コメント