昔
祖母が入院している。
もう80過ぎなのだが、一人暮らしをそれなりにこなして、達者な人だった。
しかし、祖父が死んでしまってから一人でいる時間が長いため、ボケが進んでしまっていた。
ちょうどそんな矢先、転んで足を骨折した。
いわゆる寝たきりコースまっしぐらである。
それと同時にボケが急激に進み、先日は入れ歯に使用するポリデントを食べてしまい、大変な事になった。
今日はウエットティッシュをまるめて飴玉だと言って食べていたそうな。
気分もちょっとしたことでよく変化し、なかなか扱いづらい。
いや、ボケる前から扱いづらい人だったんだけど。
そんな祖母が「私は外人に会った訳でもないのにどうしてこんな目に会ってるんだろうね〜」とある時言った。
そうか、祖母はそう言う時代の人だったんだと、改めて感じた。
私は両親が共働きだったので、祖母と一緒にいる時間が結構あった。
幼い頃はほとんど親代わりだったと言っても良い。
祖母はいろいろと難しい人だったが、私には優しい人だった。
おばあちゃん子は三文安いと言われるが、祖母はよく私を折檻して叱ったものである。お尻をよく叩かれたなぁ。
ーーでもやっぱり甘かったな、私には。
そんな風に育ったが、祖母の口から戦争時代の話は聴いた事が無かった。
それがこんな時にそんな風に聴けるとは思っても見なかった。
「おばあちゃん、外人さん怖い?」と聴いたら、「そりゃあ怖いよ〜。何されるか分からないよぉ」と怯えるのだった。
取り立てて趣味も持たず、人の悪口やうわさ話にしか興味の無いような祖母であるが、やっぱり寂しい人生を送らされた所為もあったのだと、しみじみしてしまった。

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