靴
昨日、ずっとしたかった事をやってきた。
うちの近所に楽歩堂というお店がある。
私は今の仕事を始めてから、腰痛、肩こり、足のトラブルに悩まされている。腰痛と肩こりについては鍼に行って改善される。しかし、足の辛さについてはこれといった決め手が無かった。仕事で履いているナースシューズが悪い事は分かっていた。運動靴で同じ事をしてもこんなに辛くはないのだから。足の腱膜炎になった時、真剣に靴の事について考える事にした。
そもそも私は全くと言っていいほど、靴には無頓着な人だった。
ワゴンセールで売っている一足980円の靴で十分と思っていたし、運動靴以外をほとんど履かない人だったのだ。
たまに冠婚葬祭で履く靴としてハイヒールを2足持ってただけ。
しかしそんな私の選んだものだから、そのハイヒールは別名「拷問靴」と我が家で呼ばれ、実際に履いていると酷い頭痛に悩まされる恐ろしい靴だった。世の女性はどうしてこんな靴を履いて走ったりすることも出来るのだろうか?と真面目に悩んだものだ。だって私なんか歩くのも辛い。しかもハイヒールは痛くない運動靴の7倍近く値段がするのだ!!なのに履くのが辛いってどういうこと?!
それは私が悪いのだと心の何処かで思っていた。いい年をして運動靴ばっかり履いている私だからヒールのある靴が辛いのだ。あれはきっと「慣れ」と「訓練」の賜物なんだと。だって普通の人は普通に履いてるもん。あれは「慣れ」たんだ、絶対。
でも、ハイヒールで靴音をカツカツ鳴らしながら歩くということにも憧れていた私。そろそろいい年だしいつまでも運動靴ばっかりってのは困るよな。実際、冠婚葬祭時に何が嫌って、あの靴を履くのが嫌。あのお陰でどんな楽しい時間でも辛くてたまらない。こんなのはイヤだ〜と本気で思ったのだ。
楽歩堂は毎日通勤する道路沿いにある。しかも歩いたって行ける近所だ。(歩くとなると一時間くらい時間はかかるだろうけど)
だが、オーダーメイド出来る靴というのは果たして何万するんだろう。という値段の事で踏み切れなかったのだ。
それが昨年、自分の母が定年を迎えた時、お祝いに何を送ろうと考えて、ここの靴を送る事を考えたのだ。
定年してからはあちこち旅行に行く事もあるだろう。そんな時健康のためにもいい靴をと思ったのだ。(私がこんな事を考えついた事自体、靴に関する関心がいかに高まっていたのかということを示す。)
私の母は私とは全く違って非常におしゃれな女性だ。しかもちゃんと自分と言うものを知っていて、流行ではなく自分に合ったもので自分を飾れる人だ。(よく私はあの母の娘なのに、どーしてこんななの?と言われる。)当然、素敵な靴もいっぱい。しかもチビなのでヒールの高い靴がいっぱいあるのだ。
しかし、さすが母。これからは健康第一と自分が気持ちいいと感じるもの以外はさっさと処分していた。そんな母は私の申し出を非常に喜び、一緒に楽歩堂へと行ったのだった。
それから一年。ハッキリ言ってその靴を買う金銭的余裕と(そんなに高い靴じゃないんだけどね)、精神的余裕が無かったので自分自身が楽歩堂に行くことはなかった。だけどずっとずっと行きたかったのだ。
母の件で一度行くと、最初は測定とかいろいろあって2時間くらいは時間を取られる事も分かっていたので、時間的ゆとりがある時と思っていたらこんな事になってしまったのだ。
で、ついに楽歩堂へ自分の靴を探しに行けたのだった。
店内に入ると店員さんがやってきて、まず「初めてですか?」と訊いてくる。初めてだと答えるとずっと店員さんが付いてくれて気持ちいい靴を探すために誠意を尽くしてくれる。
店内にある靴はどれも気持ちいい靴ばかりなのだが、個人に合わせて測定をし、その人に合った靴の中敷も作ってくれるのだ。
そして遂に私は痛くないおしゃれな靴を手に入れた。
ホントに痛くない。
走るのも平気。
飛んでも平気。
すごいな〜。
ちなみにここは靴の修理もしてくれる。高いお金を払っても、長く履けるのだ。
ちなみに私が手に入れた靴はフランス製の靴。取りあえず冠婚葬祭時にも履けるように色は黒。
店員さんが「折角いらしたのですから、いろんな靴を履いていって下さい。」と言って、ホントに様々なデザインの靴を試させてくれた。その中には当然ナースシューズも入っていた。(普段履いている靴を訊かれるから)
これが気持ちいいんだ!!
肩と首筋がすっと楽になるのが分かった。店員さん一押しのサンダルシューズだったが、走っても動いてもサンダルの上で足が滑ったりしない。裸足より楽な靴だった。
夏のボーナスが出たら今度はあの靴を買いに行こう。


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